~ブティ(boutis)について~
プロヴァンス地方のキルトは、総称『ピケ・デ・マルセイユ(マルセイユのキルト)』
と呼ばれています。
ピケとブティに分けられ、ピケは、合わせ縫いのことで表布と裏布の間に
キルト芯や真綿を敷き、図案通りに刺していくキルトです。
ブティは、表布と裏布のみを図案に従って細かく刺して、
裏側からコードを詰めるキルトです。
ブティは、プロヴァンス語で、錐の事を意味しますが、
語源はフランス語のアンブチール(emboutir=金属に型打ちする意味)から
来ていて、鉄に刻んだような硬く鮮明でくっきり浮き彫り模様が特徴です。
キルトのテクニックは、古くからあり、中国では、すでに紀元前300年前から
上着に綿入れが、登場していましたが、しかしキルトは、
あくまでも機能的かつ実用的なものでしかありませんでした。
17世紀以降プロヴァンス地方の女性達が優雅で洗練された芸術に高めていきます。
18.19世紀は、最も栄えた時代で、現在使われている図案と手法は、ほとんどが
18世紀~19世紀のものです。
ブティは、無地で多くは、白平織り木綿が使用されています。
伝統とは、テクニックや形式を伝えるものではなく、
心を伝え、愛を伝えるものですね。
Etsuko作